◆放射能問題関連◆




 報道関係者のみなさま
                                2016年12月22日 

日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ

                    室長 保科 隆  
 【声 明】のご送付について

  3.11以降の混乱の日々、私たちがどのように過ごし、今後何を目指していくべきなのか、日々の取材や様々な情報提供、日頃の取組み、業務に感謝申し上げます。
  私たち、日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ(以下「いずみ」と略記)は、2011年の原発事故後、複数の医師の協力を得て希望者への甲状腺超音波検査を実施している民間団体です。主に宮城県内における震災当時18才以下の子どもを対象とし、2013年12月8日以降、これまでに1856名の甲状腺超音波検査を実施して参りました(2016年12月22日現在)。宮城県は甲状腺検査の必要がないとしていますが、原発事故由来の放射能汚染に対する影響に不安を覚え、検査を受けたいと願っている方が大勢おられることの現れであると考えられます。微力ではありますが、私たち「いずみ」はこの検査を継続することによって、疫学調査に資するのではないかと考えています。
  さて、私たちは12月21日付【声明】を福島県知事、福島県保健福祉部県民健康調査課、福島県「県民健康調査」検討委員会の3者にお送りいたしました。2011年10月以降、福島県において実施されている県民健康調査、とりわけ、甲状腺検査について、今月9日、日本財団からの提言書が福島県知事に手渡されたことをうけ、同検査のあり方が自主参加、もしくは縮小される方向性が福島県や福島県「県民健康調査」検討委員会などで検討されることを懸念しております。
この度、上記3者にお送りしたものと同じ声明文をお送りさせていただきました。よろしければ別紙の声明をご覧下さい。ご多忙のところかと存じますが、報道関係者のみなさまにおいては、今後の推移についてご注目下さり、12月27日(火)に行われる第25回福島県「県民健康調査」検討委員会などでの検討の様子や結果などをお取り扱いいただきますようよろしくお願い申し上げます。

  ■お問い合わせ・連絡先
  日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ
   事務局:服部 賢治
  〒980−0012 宮城県仙台市青葉区錦町1丁目13−6
  電話番号 022−796−5272(平日9時〜17時)
  メールアドレス izumi@tohoku.uccj.jp 
  HP http://tohoku.uccj.jp/izumi/ 


           【声 明】

甲状腺検査「縮小」につながる見直しに慎重な対応を求めます

  2016年12月21日
     日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ

  2016年12月9日、日本財団が福島県知事に対し「甲状腺検査は自主参加とされるべきである」という内容を含む提言書を提出されました。私たちはこの提言に対し異なる見解を有します。福島県及び「県民健康調査」検討委員会がこの提言を受け入れ、その主旨に沿って検査体制変更を検討するのではなく、健康への不安を覚える保護者や被検者である子どもたちに対し、十分な検査や医療、インフォームドコンセントや精神的サポート体制が構築、提供されるよう心から願っています。 
  私たち日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ(以下、「いずみ」と略記)は、複数の医師の協力を得て、希望者に対する甲状腺超音波検査を実施している民間団体です。主に震災当時18才以下だった宮城県内の子どもを対象に、2013年12月8日以降、これまでに1856名の甲状腺検査を実施してきました(2016年12月21日現在)。宮城県は県内での甲状腺検査の必要がないとしていますが、それでもなお、不安を抱え、検査を受けたいと願っている方々が数多く存在します。
  2011年10月以降、福島県が実施している県民健康調査の甲状腺検査で既に174名の小児甲状腺がん、又は悪性疑いの子どもたちが確認されています(2016年6月30日現在)。原発事故による被ばくと、小児甲状腺がん発症との因果関係については、検討委員会でも、未だ結論が得られていません。甲状腺検査受診を自主参加にすることにより、受診者数が減少することは、多発している甲状腺がんと被ばくとの因果関係を調べるために有効な手段である疫学調査にマイナスの影響を与えます。既に甲状腺がんと診断された患者の方たちにとって、原発事故由来の被ばくの影響があったのかなかったのか、という原因追及や事実の解明が分からなくなります。加えて、この間の多発状況から鑑みると、自主参加制にすることによる甲状腺がん発生の見逃しが懸念されます。
  さらに、小児甲状腺がんについては、大人より進行が速いなど、病態が十分に解明されていません。放射線被ばくによる生体への影響はゼロではない限り被ばく線量に応じてリスクがあると考えられています。それはこれまでのICRP勧告においても提唱されております。安定ヨウ素剤服用がなされず、被ばく回避が徹底されなかった事故直後の被ばく線量に関する評価についても不確実性が大きい以上、対象である福島県民が被ばくによる健康不安を有することはごく自然な反応であると考えられます。このような状況では、対象者個々に関する情報開示や明確な根拠提示によって、緊張緩和や不安解消につなげていくことが最も必要なことであると考えます。この有効且つ具体的な手段のひとつが、継続定期的な甲状腺超音波検査による異状の有無確認です。それゆえ、甲状腺検査体制縮小につながる提言内容を肯定的に検討することは、検査の主旨と矛盾し、むしろ福島県民が有する不安を解消することにはつながらないと考えます。
  何より、当事者である福島県民自身の意見表明や意見交換、議論や合意形成がまったくなされていません。このような段階での検討や体制見直しは拙速です。私たちは福島県や関係機関がこの提言を受け入れ検査体制見直しに傾くことがないよう、慎重な対応を求め、ここに声明を表明します。 

  (以上、【声明】)




   東北教区放射能問題支援対策室「いずみ」より

              室長 保科 隆
                   2016年2月20日発行
                   「教団新報」から転載

  東北教区放射能問題支援対策室「いずみ」は、2013年5月に行われた第68回教区総会決議に基づき同年10月に発足しました。その後の2年と少しの間の活動が国内外の教会と多くの皆さんの支援と祈りに支えられて続けられています。心から感謝です。
  現在の活動は、一名の室長と一名の顧問。そして室長も含めた5名の運営委員と4名の専従スタッフ、さらに何人かのボランティアによってなされています。甲状腺検査においても、また保養プログラムにおいてもボランティアの助けをいただいております。「いずみ」の活動の中心となる事務所は、仙台市の東北教区センターがある建物の別棟です。二階建ての古い建物ですが、以前は宣教師館だった「マギーハウス」を東北教区、そして教団からの支援金をいただいて一階も二階も大幅に改装して使わせていただいております。「談話室」のあるこの建物の有効な利用を考えることも今後の「いずみ」の課題の一つです。
  活動の基本的なこととして毎月一回の運営委員会と毎週一回のスタッフ・ミーティングがあります。そのどちらにおいても、今までの活動の詳細な報告がなされ、またこれからの予定が話し合われます。とくに運営委員会は発足当初からかなりの時間がかかります。それほどに放射能汚染の問題に対する取り組みが多岐にわたっているからです。
  さて「いずみ」の活動の具体的な内容について記します。発足当初から三本の柱があります。健康相談と検診、保養プログラム、訪問と傾聴です。一番初めに行われたのは保養プログラムです。開設した月の10月からです。それから検診は12月に甲状腺検査の第一回を行いました。さらに甲状腺の検査を担当した医師による講演会もなされました。放射能の問題を主題にした講演会については、その後何人かの講師によりすでに五回行われています。また、大阪教区から派遣していただいた山崎知行医師(大阪教区・愛隣教会員)による健康相談会は福島県を中心にした教会付属の幼稚園や保育園の子どもたちの親御さんに対するケアーとして大切な働きを担っていただきました。「いずみ」の発足当初は毎月来ていただきました。福島県、会津地区の若松栄町教会にある会津放射能情報センターとの協力関係は山崎知行医師の派遣を考える時に忘れることは出来ません。
  甲状腺の検査について記します。第一回の検査は2013年12月です。そして2016年1月末に第24回の検査が実施される予定です。すでに1000名を超える子どもたちが検査を受けました。最近は毎月一回の検査が確実に実施されています。福島の原発事故当初に18歳以下だった子どもの中で現在は宮城県に住んでいる人を中心に検査を実施してきました。宮城県でも最初は仙台市からはじめました。甲状腺のエコー検査をするための器械は借りて行いました。しばらくレンタル料を払っていたのです。しかし、その後、検査のエコー器械は教団からの全額支援により自前のものを持つことが出来るようになりました。感謝です。それ以後は宮城県でも福島県に近い南部の地域(丸森町、角田市、白石市など)に出張したり、また放射線量が高いといわれる宮城県北部の栗原市にも出かけて行き検査を行いました。
  「いずみ」の活動報告会のために日本各地に運営委員が出かけています。その時に質問が出されます。「どうして宮城県だけでしているのですか。福島県ではなぜ行わないのですか。」もちろん福島県に出かけないと決めているわけではありません。すでに福島県の南部にある川谷教会の保育園の子どもたちの甲状腺検査を単独で実施しました。園長からの希望があったからです。そのために二回まいりました。また、宮城県で行っている理由ですが、宮城県は県の行政が放射能の心配はないという判断で甲状腺の検査は必要ないと考えています。しかし、それはあくまでも県の立場であって市町村のレベルでは必ずしもそうではありません。例えば大河原町などでは町の協力を得て甲状腺検査を実施しました。具体的には「いずみ」の検査案内を町の広報に載せていただいたのです。申し込みがすぐに殺到しました。大河原町だけではありません。白石市でもそうです。大河原町では検査会場も町の施設を貸していただきました。町長も検査会場に見学に来られました。申し込み者が多く一日の検査で約100名の子どもが検査を受けました。通常の場合は50名程度が限度です。
  甲状腺検査については課題もあります。エコー検査を交通費のみのボランティアで担当してくださる医師が不足していることです。今まで毎月一度の検査を行うことが出来たのは、エコー検査をすることのできる医師に恵まれていたからです。しかし、今年の4月からはこれまで検査を担当していただいた医師の転任もあり、今後の検査の今まで通りの実施については不安材料もあります。どなたかエコー検査の出来る医師の方を紹介していただけないでしょうか。毎回の検査結果については、A1、A2、B、Cの四段階でなされます。嚢胞と結節のあるなし、その大きさによって判定がなされます。ちなみに甲状腺がんになる可能性について言えば、BでもCでもなると聞きました。
  さて保養プログラムについて記します。短期、長期の二つのプログラムがあります。とくに長期のプログラムについては夏は北海道、春は沖縄で五泊六日の日程で行ってきました、北海教区と沖縄教区の大きな協力を得ています。また、今年3月の第九回の長期保養プログラムは九州教区の奄美大島で初めて行う予定です。
  東日本大震災から、そして福島の原発事故からまもなく5年を迎えます。「いずみ」の活動は神が創造し、またその摂理をもって導いてくださるこの世界に生きる子どもたちの命を守る取り組みとして始まりました。生命倫理的な課題です。原発事故の大きさに比べてあまりにも小さなつながりであり取り組みです。しかし、私としては、このような働きを今後も続けていきたいと願っています。全国の教会に「いずみ」の働きを続けるための支援のお願いを発送しています。どうぞよろしくお願いします。祈りを持って支えてください。